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ローン&ボイル

暑い日、一年ぶりに着たブラウスが涼しかったからこれと同じものをたえちゃんに作ってもらおうと思って、その足で仕事後、新宿のオカダヤへ行ったら店員が客に、「ですからーそう言われましてもー実物をお持ち頂けるならともかくー写真を見せられましてもーこちらとしてもわかりかねるんですよーー」と言っていて事情を汲んでみるとその男性客はサプライズかなにかで彼女に服を作ってあげたいという野望を秘めた男のようで、それってすっごいいい話じゃん!と思ってことのなりゆきを見守ったが彼女は自分の職務上の過失を防ぐことこそが職務遂行だと思っているようだった。
そんなバッド・バイブレーションに悪寒がしてきて河岸を変えることにして電車に乗って渋谷へ。

そうだ、私はマルナン派だった。
学生の時、学校指定の布屋はマルナンだった。
マルナンはいい。店員は全員おじさんで、やたらたくさんいるところがいい。
私はインド綿を目指していたので外の安売り布のコーナーでいつもインド綿があるあたりをうろうろしていたらさっそくおじさん1がでてきて、「言ってねー中もありますよー」と声をかけてきたので、「インド綿はどこですか」と聞いたら自分が捜査した場所を案内される。そこにめぼしい布はなかった。
「すみません、これなんですか!」と単刀直入に着ていたブラウスを引っ張ってしめしたら、ちょっと見て、「綿ボイル!」と答えたおじさん2。「綿ボイルどこですか」「綿ボイル地下」ということで地下へ行くとおじさん3が「ハイ綿ボイルね、こっちこっち」と案内してくれる。

「なにつくるの?」と聞かれて「コレ。ともだちが」と着ている服を見せる。
「いいじゃない。これなんてとてもいい布で高かったんだけど、いま半額でだしてる」と言う。
私は即座にその布を含めた2種類決めて、「おじさんこれ・・・」といいかけた。するとおじ3は、「これは透けるから、なかにペチコート着るのよ!白じゃなくてベージュだからね!着なさいよ!」と言う。ええええ、私はペチコートにうるさい女ですからまかせてください。それは、なかにペチコート着ないとだめな服なのよ?!全透けはお里が知れるよ?!と若い女の子の肩をがくがくゆすぶりたいそんなタイプですから!
「うちのお姉ちゃんはさーだめなんだ!いっても聞かない聞かない」と言うので、いやそりゃ若い女の子はねえ、と応じようとすると、「70にもなると頑固で、家のなかだからいい!つってスケスケなんだ」と言った。娘さんじゃなくて、実姉か!70近いひとが口にするお姉ちゃんという単語に触れて、なんか感動していると、おじ3、さらに「おじさんの若い頃なんて既製服が買えなくてぜんぶ自分で作ったんだから!」と言う。「おじさんもつくったのですか」と聞くと、「あたりまえでしょ!既製服は2万円なんだから!」と諭される。
「当時のお給料は?」「1万5000」「ヒー買えなーい」「買えないでしょ、だからつくるんだから」
そうこうしてるうちに地下に若い女の子がたくさん入ってくる。ぎゅうぎゅうの店内でおじ3の話つづく。
「ものだってないんだから!そんなときに自分で作ったひとたちががんばっていまがあるんだからね」とお説教するでもなく言うので、「ほんとですよね、ありがとうございます。これ2メートルずつ」と頼む。
おじ3は続けて、「当時接着芯ないから!糊だから」と新たな情報を教えてくれたので「でんぷん糊?なにに塗るの?」と聞いたら「キャラコ。だからね」ふんふんと聞いていると、「あなた着なくなった服はぜんぶほどく」うんうんとうなづくと、「ほどいてぜんぶ型紙にして持っておく。わかった?がんばるんだよ」
「がんばります!・・・・・・・ともだちが!」
「それでおじさん、いまでも自分で作っているので・・・?」と帰りがけに聞くと、「つくらないよ!こんなに既製品があるんだから!」と言った。

いい話を聞いたようないいおじさんにあったようなきもちがしながら階段をのぼって、別の布を頼もうとおじ4に話しかけると、「はやくはやく!もう閉店だよ!」と言われたがまだ閉店五分前であろう。それでもそれはバッド・バイブレーションではないのであった。

でもよーく考えたら、このブラウス、ローンじゃね?という気持ちがぬぐえず、たえちゃんに渡すと、「ローンだね」ときっぱり言われた。この形でボイル、かたすぎるかなーと危惧しつつもおねがいしてきました。

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SMTOWNのみなさんと同じカメラをダウンロードしてみるも、うまく使えないの図。
by chimakibora | 2011-06-29 23:47 | 生活