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台風一過

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前日38ドシーの熱があってひたすら寝てたから、土曜日、台風が近づいてるって知らなかった。
電車に乗って横浜に向かう途中で気づいた。
ときは2004年、こんな台風の中、キリンジのライヴに向かわなかったか。

『BUOYANCY』は、ヤス曲がヤス過ぎる!とちょっと冷やかしつつ聴いてた。今までみたいに、どっぷり聴いたわけじゃない。

そしてそれは、そのヤス過ぎるヤス曲の味わいをちゃんと冷やかさずに聴いたということでもある。
とりわけ『ホライゾン!ホライゾン!』に寄り添えた瞬間があって、私は『ホライゾン!ホライゾン!』に寄り添えるようになった自分が嬉しかった。

いや私は”高樹ベスト”ってCD作って(そのココロは、アルバムからヤス曲を抜いたCD)聴いてたくらいタカキスト。でもそれと同時に、泰行がいてくれることにどれだけ安心させられていたか。それは、自分と似たものを求めつつ、自分にはまったく似ていないものに未来とか自由を見るという行為の音楽版なんですよね、言ってみれば!

そういうあり方に、ここらで一皮剥ける必要があった。
『ホライゾン!ホライゾン!』と寄り添った私は、今までとまったく違った感覚で、キリンジが必要だ!って思いました。強く。
私にとっては、キリンジがセルフプロデュースになったのと同じくらいの転換期でした。


SKさんを誘ったんだけど、両親に「今日chimakiさんの好きなひとたち聴きに行く」と言ったら、そろって、「韓国人??」と聞かれたらしい。「違います、日本人のおじさんの兄弟です」と訂正。

SKさんの古い知り合いが雑踏に見つかる。
「うっわー何でいるの?」と聞かれていたSKさん。
そうですよね、10年くらい前のSKさん、ハードコア全盛期でしたよね。と傍らで頷く。

「高樹が右にいるので右から見たいです」と宣言をして右のドアから入ったら右だけすごいひと。
「ホラみんな高樹好きなんだって」とSKさんにとくとくと説明していたが、たんに、ドリンクバーの目の前のドアがステージ右ってだけだったかもしらん。
「み、見えない。始まったらもっと見えるところに動こう」と言うので、
「始まったら動けないよ」と言う。
動く人とかいないんだよ。大人だから。

キリンジがまぶしく登場。
病み上がり(病み中)というんもあるけど、後ろのほうで、ちょっと離れた場所でキリンジを観ているなんて大人になったなと思った。あの頃、後ろの方でニコニコしてる大人のひとたちみたいにはやくなりたいって思っていた。

高樹はブラックウォッチのシャツで、泰行は、ヤスは・・・いつも心配なヤスは・・・服はいいとして、髪の毛、センターパーツでぺたっとしてる。ヤ、ヤスの、髪型へん。
SKさんに言ったら「へんだねー」と笑ってた。
で、服は黄色いTシャツになんかシャツはおってた。どうしてそれを!
やっぱりヤスのことはわかんないなー。ブラックウォッチを着ちゃう高樹の気持ちがわかるなーわかりすぎるなー。

最初の一音が鳴った瞬間、「あー。台風一過だー」と誰かが呟いた。
あの場にいたみんなあんときの軽い幸福感ったら、なかったと思う。急遽一曲目に持ってきたに違いないと私は信じた。だって、二曲目が、『夏の光』だったから。こっちが真の一曲目っぽいでしょう?

せまりくる台風の中のハコの中で台風が過ぎ去った歌を聴く。

『夏の光』の口笛のとこ、高樹が吹いてて、手に汗握る。

高樹が、「Zeppのときもこんな台風で、覚えてるひといますか」と言った。
「あのときもツアーグッズにタオルがあって、即完でした。あの時より吸水性が上がっていますから!」
確か、あのとき、出るだに「タオルが完売した」って話してた気がする。台風だとすごい完売だぞと。
そうそう、あのときケーブルテレビで生中継してて、ライヴが終わったときにSKさんから「いまテレビでキリンジ見てたんだけど、あのなかにchimakiさんいますかー?台風すごいねー」ってメールが入ったんだった。SKさんと一緒に観に来られるとは思ってなかったよ。
それと、去年職場の風変わりなおじさんから、「引越しでいらないビデオが出てきたからあげます」と”キリンジZepp東京”と鉛筆で殴り書きしてあるVHSが送られてきてしばし2004年に思いを馳せたりした。

えーと。

全体的に、演奏も歌も、あぶなっかしさとか歯切れの悪さとか、今まで感じていた引っかかりがなくなって、堂々としていた。

『セレーヌのセレナーデ』のアウトロで、ヤスがギターを外して、いそいそと移動したので、もしやーと思ったらスティールパンをたたき出しました。
口笛より握る手汗。
い、いいぞ、ヤッスン!がんばれヤッスン!
って、会場が一丸となって応援。

SKさんは”ペダルスティールそのた色々(ヤスの紹介)”の「田村さんに私スティールパン習ってたんだー久しぶりに見たー」と違うところに着目していた。

ドラムが『秘密』をたたいてやりなおし。
おっとー!と言ってやりなおし。
『星座を睫毛にひっかけて』だったらしい。

あ、『BUOYANCY』全曲やりました。やったんです。
で、『嫉妬』。はーこんなエロい歌をぽいっと歌ってる鈍感そうなヤスが好きです。

蔑むように
哀れむように
うつぶせたままで
俺が果てるのを待ってるのか

の最後の「か」の余韻がもうもんのすごい。

で、『都市鉱山』でわーっってなったみんななった。
なりますよねこれは。
そして高樹はやり切りました。CDより気合が入っていたと言ってもいい。

いらなくなったPCおくれよ!

のとこの裏返りがものすごくキマった!やんややんやピューイピューイ(指笛)と沸いた。

思わず私もdog eat dog!!!

チリの鉱山の事件といい、中国のレアメタルと言い、「あ、引き寄せちゃったかなと思った」と高樹。
「預言者です、預けるの方です」と言っていた。
歌うひとが口寄せになるってあると思う。キリンジで言うと、『恋の祭典』後の北朝鮮の目覚しい活躍・・・。

『ムラサキ☆サンセット』でわーって歓声があがったのが意外でした。あと『十四時過ぎのカゲロウ』も。

『小さなおとなたち』前のMCで、「横浜と言えば・・・観覧車がありますね。お台場の話またしますけど、お台場にもあるんですよ。観覧車。台風でぐるぐるまわってたんですよ。今日も回ってるんですかねー」と高樹が言った。

今回ジャケットがかっこよかったのはタナカカツキにアートワークをお願いしたからで、ツアーTシャツのデザインも引き受けてもらったそうでした。珍しくかっこよかった。
高樹:「自分の顔の描いてあるTシャツはちょっと・・・」
泰行:「いや、KIRINJIとか書いてあるよりはねえ。KIRINJIとか書いてるTシャツ着てるときガスの検針のバイトのお兄ちゃんに”がんばってください”とか言われるんだよ、”お前ががんばれよ”って思ったよ」

アンコールの『悪玉』で、掛け合いを楽しみにしてたら、1回目の

マイクよこせはやく

のとこ、どうやら高樹がすっかり忘れていたようで、ヤスがかわりに歌ってた。
で、2回目の

マイクよこせはやく

のとこ、「どうぞ、どうぞ、どうぞ、うたえ!」って感じの手ぶりで、無理やり高樹に歌わせてた。
「なんで?」って感じの高樹であったことだよ。
歌い終わった途端、「やると思ったんだよ!リハーサルのとき同じとこでぼーっとギター爪弾いてたんだよ!」とびしっと言ってました。いつもの、「いやいやいや~」ではありませんでした。ヤスかっこいい。
「なんで?泰行でしょ?」とぽかんとした高樹が言うも、「いやいやいや1回目が、あなたで!2回目がおれでしょ!順番はどっちでもいいんだけどさ!マナカナだったら解散だよ!」と言っていた。ヤッスン・・すてき。玄さんに「きみたち双子じゃないでしょうが」と言われていたが。

そしてみんな大好き『Drifter』。私はこの曲の美しさを讃えてなお、この曲にノレないんだけど、泣きださんばかりの会場の空気にはやっぱりノレなかった。
なんだろう、『Drifter』のことは、メロっと愛せない。キリッと愛したい。キリット。

最後の『さよならデイジーチェーン』しみじみとヤスだった。

麦畑でランデヴーは
今日もひとつほくろ見つけた
星座みたいに結んだら
君は笑うかな

のあとの

デイジーチェーン グッバーイ

の音がさびしすぎていつもえぐられる。


◆セットリスト覚書
1台風一過
2夏の光
MC
3温泉街のエトランジェ
4ホライゾン! ホライゾン!
5Rain
6セレーネのセレナーデ
MC
7星座を睫毛に引っかけて
8秘密
9Round and Round
10嫉妬
11都市鉱山
MC
12空飛ぶ深海魚
13ブルーバード
14ムラサキ☆サンセット
15十四時過ぎのカゲロウ
16あの世で罰を受けるほど
MC
17小さなおとなたち
18アンモナイトの歌
アンコール
悪玉
Drifter
さよならデイジーチェイン


◆バンドメンバー
ベース 千ヶ崎学
ドラム 楠均
キーボード 伊藤隆博
ペダルスティールそのた色々 田村玄一

・・・勝手に真城さんに会えると思って行ったのに真城さんいなかった。
by chimakibora | 2010-11-05 02:17 | 観る・聴く