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私が愛した名前

印刷博物館で『世界のブックデザイン2008-2009』を観ました。
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印刷博物館は首都高速の右にあるんだか左にあるんだか、ごくそばまで行かないとわかりません(答え:飯田橋駅から向かって右。江戸川橋駅からは向かって左)。

ヨーロッパのブックデザインが素晴らしいのは言わずもがななんだけど、何で素晴らしいかって、デザインを語る言葉があるからだと思うの。
展示室にて、審査員の評の量とその質に圧倒され、たちくらみしながら歩をすすめるっきゃありませんでした。これはデザインと批評の幸せなマリアージュというんですか、ブックデザインへの愛と可能性を推進する者の共犯関係というんですか。
質もそうだけど、世の中で大事なのってバリエーションだと思うんです。そして、バリエーションを力強く肯定するためには、言葉が必要だとつよく思いました。言葉がそれをそれたらしめるわけですよね、強引に、解釈していく。価値とは相対的なものなわけで、恣意的な言葉によって、いろいろなものになりうる。

んで、このこと(”照らす”言葉に対する、”照らされる”モノ)に名前をつけるなら、”SHINee”という造語になるんではないでしょうか???
(えー、お察しの通り、SHINeeというのはアイドルグループの名前ですが、由来がShineに人を表す接尾語eeをつけ(traineeと同じですね)、光を受ける者、つまり、照らされて初めてそのものとなる者を表しているわけです。shinyと同じ音で晴れやかさもあるし、よく考えられた名前でしみじみスキです)

われわれも、あ、われわれというのは日本人のことですが、かといってエスニックグループに別れて対抗戦とかそーゆーのあんまり興味ないと言うか、オリンピックの意味がわからないというか、『東京オリンピック』的意味合いでしかあれ観て無いけど、とにかく頑張って芸術を批評する言葉を持たなければなりませんね。と、外の国に触れる度に、やっべー心が鎖国だった!ホモソーシャルNIPPON!とハッとして自分のほっぺたを往復ビンタするのであります。

だってねー、日本の審査員無言よ。ちょっとだけあったけど、職人は語らねえ。と無言=美徳とばかりに、目で察しろとばかりに、理由もなしに、「●●が●●になってるのが残念」とか書いてあった。違うでしょ、野暮とは違うでしょ、視覚的なものをいかに言語で具現化するかは大事なことでしょ。
パブリックコメントと気張らずとも、審査員個人の残念さの経緯の個別性と特有の軌跡を見せてくれるだけでも、いいんでないの。

えー、このあいだっから、カルチャーショックについてしか書いてない。というか、私の人生自体がカルチャーショックで駆動しているのではないでしょうか。
でももしも、私たちが異文化にショックを受けなくなったら停滞しかありませんね。

がんだれ表紙って初めて知ったんだけど、がんだれって雁が垂れると書きますか、これ名前からしてカッコいい。気負わずソフトでくにゃっとした触感が繰りやすくて見てよし触ってよし。がんだれ表紙。フランス製本みたいな感じだけど微妙に違う。
それと、チリなしの本の下降思考というか、原点回帰な感じにもやられました。

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ところで、スイス部門のヴィジュアルブックにこの写真が載っていて、うっわあと即岡惚れ、頭の中のエンピツでPERM MUSIUM (PERM,RU)と書きつけました。
アンビルトの感じがしましたが、もしこの地球上にこれが建っていると考えると、断然昨日よりわくわくする!このように、岡惚れも私の人生の助輪に違いありません。

調べたら、ロシアの現代美術館のコンペでの、スイス人建築家ヴァレリオ・オルジアッティの案だった。Bernaskoniとのシェアで、3等はザハ・ハディドだったらしいです。
シェアってどう実現するんだろ?
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by chimakibora | 2010-01-18 01:07 | 観る・聴く